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書評 平壌を飛び出した宮廷詩人

 「わたしの娘を100ウォンで売ります」の著者である本人の35日間にわたる脱北の手記である。本の題目にある有るように、金日成総合大学を卒業した著者は詩人として金王朝の中でその指導者を称える抒情詩を書く仕事を生業としていた。正に宮廷詩人である。
北朝鮮の(前)統一戦線部に所属したエリートとして、その職業としていた大韓民国の情報を知る仕事をする中で、北朝鮮体制の矛盾とその失望、 そして、親友に降りかかった不幸をきっかけににその二人が脱北するスリリングなドラマが始まる。特権階級のみが持つ事の出来る通行証を持って国境線まで行くが、警備に捕らえられ調査を受ける場面では自分がその場面に遭遇しているかのようにドキドキした。そして、その場の危機を抜け出す為に取った行動に北朝鮮の中の人間的な部分を垣間見たり、豆満江を渡る場面、中国に渡ってからの公安当局に追われる場面など、一編のサスペンス映画を見ているような気がした。逃走中に出会う一人一人が奇跡のような人々であったしドラマであった。最後まで失くさないようにと持ち続けて来た北朝鮮の実情を綴った手帳。それを守る為に失った親友、35日間という期間の出来事を一気に読み終えてしまった。最近何かと話題の北朝鮮の実情を知る上でもとても参考になると思うので、一度読んで欲しい一冊だった。

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