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黄七福自叙伝「われわれは期待したが、いまや失望している」

 

黄七福自叙伝73

「ああ祖国よ 我れ平壌で叫ぶ時 祖国は統一」

 

第5章 在日同胞の将来を考えつつ

われわれは期待したが、いまや失望している

盧武鉉政権の対北支援計画が過熱している。コメや肥料はすでに支援しているが、電力や農業、水産などの部門にも五兆億ウォン余りを追加して支援するというのである。

その財源は明らかでないが、借金せざるを得ない国家の財政状況に照らしてみれば、狂気の沙汰というほかない。

韓国国民が「北の開放推進」「人権の改善」などを最も優先すべきと望んでいるにもかかわらず、カネは出すが口は出さないということか、深刻な状況にある北の住民の人権などに対しては一言半句も口にしない。まるで金正日政権の飼い犬のような有様である。

脱北した黄長燁氏は「北朝鮮は階級独裁、封建的家父長制と軍事独裁が結びついた最悪の独裁国家として前代未聞の人権蹂躙が行われている」と指弾しているし、「北朝鮮人権改善で最も献身的に努力しなければならない韓国政府が、この問題の責任を放棄している」と指摘する国際人権活動家もいることを銘記しなければならない。

盧武鉉政権が出帆して二年九カ月、その出帆に大きな期待をかけた国民は、いまや失望に変わっている。

金大中・盧武鉉政権の特徴は、過去史への固執と、北に対する無原則な融和である。

盧大統領ほど「過去」に執着する政権はこれまでにはないし、二〇〇二年の大統領選挙時、「南北関係をすべての問題に優先する」と公約した、その公約を果たすためか、金正日独裁と協調する勢力を「革新」と呼び、反対する人たちを「保守反動」「守旧派」などと誹謗し、対北支援に狂奔している。

あろうことか、「反共」を国是とするわれわれの常識とはまるで正反対であり、これはもはや、赤化革命である。

そのような、赤化革命勢力の実体はなにか。われわれは常に、冷厳に凝視する必要があるし、警戒と反省を怠るべきではない。

盧武鉉政権には、北の工作員が大挙入りこんでいるというのは、いまや周知のことだ。加えて、過去に民主化活動家などともてはやされ、前科者となった輩も大きな発言権を得ている。

そうした赤化革命勢力は、国家保安法廃止をうんぬんし、過去の真相究明と称して、智異山の武装ゲリラも民主化に寄与したとうそぶく。スパイ工作員が獄中で思想転向したということがどうして民主化功労者となるのか。

あるいは、金正日独裁を礼賛する大学教授の逮捕に対して、法務部長官が指揮権を発動し、逮捕させないなど、あっていいはずはない。あろうことか、盧大統領の人民軍服姿の写真まで登場している。

韓国国民の血税を、アジアと世界の平和に脅威を与える核とミサイルの開発に血道を上げている金正日の口座に振り込んだ金大中前大統領の責任は計り知れない。だからこそ、金前大統領は不正送金を国民に謝罪したではないか。

南派スパイ団とその同調勢力によって、「自由」と「民主」の国、祖国・大韓民国は危機に瀕している。

「革新」を主張する赤化革命勢力は「南北共同宣言」支持を叫び、「民族共助」「民族同志」を叫んでいる。しかし、その中身は民族ではなく「金正日共助」である。

それら勢力の実体は、民族の未来には関心がなく、自己の利益保全に余念がない輩である。

「統一費用」という計算に明け暮れ、ドイツの例を挙げて「共倒れになる」と喧伝する。北の人権に対しては固く口を閉ざす盧政権は、すでに金正日政権と運命共同体となっている。

それは単に「民族同志」とか「民族共助」といったきれい事の関係ではない。権力維持のための抜き差しならない関係になっている。

「自由」と「民主」がわれわれの不可侵の価値判断である。われわれは一貫して「自由」と「民主」のために闘ってきた。独裁へのテコ入れに闘ってきたのではない。

ベルリンの壁の崩壊は何だったのか。ソビエト連邦の解体は何だったのか。全体主義、独裁体制の消滅への祝砲ではなかったのか。

最近の四選挙区の補欠選挙での与党の敗退は、赤化革命勢力に対する警鐘ではないか。

しかし、盧政権は、それを反省し、糧にするどころか、輪をかけて金正日独裁の支援に血道をあげている。ああ、平壌がソウルにきたような、こんなありさまで、祖国・大韓民国に未来はあるのか。

このような国家進路に、「自由」と「民主」を愛する内外の国民は同感しないし、一刻も早い終息を願望している。将来、二度とこのような政権が登場しないことを願うばかりだ。

最近、憤激に堪えられないのがマッカーサー銅像の撤去うんぬんである。今日の繁栄と自由は、誰のおかげか。六・二五動乱で、北の侵略から「自由」と「民主」を守るために、米軍四万数千人が犠牲となり、莫大な費用もかけた。

こんにちの韓国の繁栄と自由は、その犠牲のうえにある。もしマッカーサーの仁川上陸がなければ、祖国、大韓民国は釜山の海から落ちて、消滅していたであろう。

最悪の事態を想定した場合、今日の北の政権下の二千万同胞は、飢餓状態になるであろう。同志よ、民主、自由の国民よ、我々祖国の進路は自由、民主、統一のため戦おう!

忘恩の徒に未来はない。われわれが願うのは、あくまでも、「自由」と「民主」の祖国、大韓民国である。これこそが、声なき国民の大多数の真の声だ。

われわれは、マッカーサー銅像に敬意を表し、いずれかの日には大挙、海を渡って献花に訪れたい。

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