
이렇게 사무치게 그리울 줄도 예전엔 미처 몰랐어요.
(こんなにも胸が締め付けられるほど愛しいとは、以前はついぞ知りませんでした )
これは、韓国人に今も愛され続けている国民的詩人 金素月(キム・ソウォル)の名言です。私が高校生の時、試験勉強で熱心に覚えた詩の一節でもあります。これが掲載された本を、本当に久しぶりに声に出して読んでみました。
私は、韓国語を学ぶために作られたこの本の題名に、本当にロマンチックな感情と新鮮な妙味を覚えたのです。2020 年4 月に出版され、現在、書店やネットで購入することができます。そんなことから、韓国語教育に関心がある方、韓国語を勉強する方々に、心からお薦めしたい書籍なのです。
この編著者こそ、韓国語教育で30 年余り教鞭をとってこられた李泰文先生です。今回のインタビューに快く応じてくださいました。素敵な個性と能力に満ちあふれた先生と韓国語の精神世界を少しでもご紹介できたらと思います。
『書いて覚える ハングル名言』 編著者 李泰文

NHK ラジオ番組講師となる出会い
5年前、ある先生の韓国語教科書出版記念会に参加し、酒も楽しみながら自己紹介をしたんです。その時に教科書出版関連の会社やNHK のプロデューサーも参加されていたんですね。そうしたら、NHK のプロデューサーが私の声をとても気に入ってくださったようで、それが契機となり、1年後に「NHK ラジオ レベルアップハングル講座」番組の話が来ました。私は良い機会だと思って、韓国の昔話を整理し始めました。動物たちが主人公、人間が主人公、ファンタジーなど…。
番組では、3カ月の間をいくつかのテーマに分け、10 種類の昔話を直接朗読もしながら、解説しましたね。
また、この出版記念会に参加していた出版社から、昨年、『書いて覚える ハングル名言』の企画が持ち上がり、私自身が直接関わり、朗読することになったんですね。本の冒頭にQR コードがありますので、WEB サイトから音声をダウンロードしていただければ、私の声による朗読をチャプターごとに視聴することができます。
教科書作成への思い入れ
編集にあたっては、朝鮮半島の歴史や社会に貢献した有名な偉人たちの略歴を入れることにしました。偉人たちが残した名言の朗読を聞き、読み上げ、自分の手でその文章を書きながら韓国語を練習していくなかで、偉人たちが活躍した歴史の1ページに思いを馳せていってほしいのです。スマートフォンが使える現代では、指1つでメッセージを打つことができますが、偉人たちの時代には手書きでメッセージを伝えています。その人がどんな心情であったか個性が即座に現れていた時代とも言えるでしょう。もし間違って書いてしまったら、その場で直しながら、どれぐらい緊張をしていたでしょうか。また、どれくらい悩みながら、その話を選んでいたのでしょうか。良き手書きの時代が、すでに過ぎ去って行ったことに、寂しさを覚えています。
また、私達の「話す」という事に焦点をおいた場合、ラジオでも記録した音声データを再生するのではなく、本当はライブがいいですね。耳に聞こえてくる言葉の響き、そして話者の個性を感じることができるからです。例えば講演会だったら、講師の表情やジェスチャー、そして教室の雰囲気が一緒に伝わって来て、エネルギーを感じ取ることができます。
これまでの韓国語教科書には、そのような部分がなかったんですよ。文法や意味の説明はありましたが、その言葉の「重み」や「温かみ」について伝達されていたのか、わからなかったんです。「単語一つ、表現一つについて、どんな価値を確認することができるか? 私が集めて、どのように分類すれば良いだろうか」と自問自答しながら、出発していったのです。
3つのテーマ
基本的に「人間」という存在が「人」でしょう。「人」の漢字を見れば、支え合っています。人間とは、一人では存在することができず、このように支え合うところで「人」です。また、人と人の「間」にある時、「人間としての価値」がまともに現れて、生きていく意味、愛する意味があります。
まず、「사람」(人)というものは、「삶」「인생」(人生)であり、「살다」(生きる)から来ているじゃないですか。「どのようなライフスタイルで、どのような考えを持ち、生きていくのか?」という部分もあったり、また、生きていく上でどうにもならなくて、必然的に他の人の出会いが起きたり。
そして、会うようになって、何かが成り立てば気が合い、互いに話が通じ、目が合い、同じ思いをして、愛が芽生えていきます。
大きくテーマを3つに分けた理由は、基本的に人間の人生において、愛が必要であるからです。人はこの世に生まれ、生きていきますが、人を愛することを通して、人間として人生の価値を得ることができます。
「사람」のパッチム「口」は、ずっと転がしていけば丸くなって、「사랑(愛)」になります。人間の心のことを韓国語で「모 가 나다」(角張る)と言いますね。角張って見れば、人に損傷を与えることになります。私のひとこと、私の行動一つ一つが愛に発展していくためには、この角を削っていかなければなりません。韓国語を習おうが、英語を習おうが、日本語を習おうが、中国語を習おうが、その国の人たちがどのような心と価値観を持っているか、理解しようとすることが重要です。その国の人々の生活、人々の心に対して、オープン・マインドで互いに理解しようとする時、愛が芽生えます。世界が平和になり、戦争がなく、また争うことなく、憎しみがない世の中になるためには、言語に対する姿勢の話を学ぶべきでしょうね。謙虚になること、更に心を開くこと。
韓国語にも悪口があるでしょう? 「韓国人と言えば、悪口が多く、せっかちな人が多い」というのではなく、その背後にある韓国人の悲しみの心、表現として考えてみてはいかがでしょうか。「なぜ、せっかちにならざるを得なかったか」。外からの侵略が多く、明日の生活がままならないなかで、歴史的に色々な波乱と人生を体験し、その上で「自分自ら鍛錬され、自ら強くなることができる一つの表現方法」として理解する時は、「悪口でない」と感じることができるでしょう。そうすれば、韓国人、韓国社会が違った形で近づいてきます。