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人類を脅かす疫病がもたらした警告


 

 コロナウイルスの感染拡大が毎日のように、テレビなどのマスメディアで報じられている。

 どこのチャンネルを回しても、この問題が専門家やジャーナリスト、関係者などの討論や議論などを放映しているほど。

 芸能関係のコンサートの中止、サッカーやプロ野球の無観客開催などが検討されるなか、どこまで、この事態が進むのか余談を許さない状況だ。

 下手をすると、今年開催予定の東京オリンピックでさえ、このままコロナウイルスが終息しなければ、中止ということさえあり得るような事態になっている。

 そのような「東京オリンピック中止」を数年以上前から予言しているのが、予言者の松原照子である。

 松原は、東日本大震災を予言し、的中させたことで有名になったが、その彼女が東京オリンピックが開催されないと予言していたことは、一部の人々にはよく知られている。

 ただ、何によって中止になるのがわからないので、その原因は大地震や戦争などではないか、という議論がネットで飛び交っていた。

 コロナウイルスの感染拡大によって、それがこうした事態になったので、この松原の予言が真実味を帯びて来たことは間違いない。

 果たして、その予言が当たるのかどうか、まだ未知数であるけれども、こうした感染拡大が世界的な事態になってみると、まったく無視することができないのである。

 中国発の発生当初は、これほどまでに世界的な脅威になるとまでは思わなかったほど深刻ではなかったが、感染拡大が中国国内にとどまらず、日本や韓国、そして世界各地に飛び火していくにしたがい、今後は経済にも大きな打撃を与えることは間違いない。

 このような疫病が人類史において、大きな影響を与えたことは何度かあって、古代史における疫病は文明の危機、滅亡まで促した可能性があるが、それは確かな史料がないので、よくわからない。

 よく知られているのは、中世ヨーロッパを席巻したペストの流行だろう。ペストは、猛威をふるい、多くの人々が犠牲になった。

 当時の人々は、現代のような医療技術も衛生観念もなかったので、原因もわからずに、次々と人々が倒れて死んでいく状況を見て、恐れおののき、これは「神の罰」というふうに考えた。

 キリスト教が全盛だったヨーロッパには、新約聖書に預言された終末、人類の終焉と神の救済という観念があって、その宗教感情からすれば、まさにペストは神の罰、悪魔がもたらした災厄であり、審判だった。

 新約聖書の掉尾を飾る預言書「ヨハネによる黙示録」は、終末における大災厄、その中には戦争などもあるが、疫病なども予言されている。

 だが、神の審判だとすれば、信仰を守った善人が救われるはずなのに、実際には善人も悪人も等しく、ペストにかかれば死んでいくしかなかった。

 これはどうしたことか。多くの流言飛語が生まれた。

 人々はパニックになり、争って逃げ出し、町や村を放棄した。

 14世紀のペストの大流行では、世界で1億人が死亡したと言われている。

 人口が少なかった当時では、人類滅亡の危機であったといえるほどの犠牲者だった(当時の人口は資料によって違うが約5億人弱)。

 当時の村や町などが滅んでしまうほどの死亡率で、このパンデミック(全地球規模の流行)は、人類の意識にトラウマとなり、社会構造を変えるほどの衝撃だったのである。

 もちろん、現在ではペストはネズミなどがもたらしたペスト菌が原因であり、その感染源を駆除すれば爆発的な流行を抑えることができることが知られている。

 ペストのほかでは、世界史的な流行を見せた疫病は、ヨーロッパから新大陸にもたらされた天然痘がある。

 天然痘の流行によって、免疫がなかった新大陸のインディアンや中南米に栄えたアステカ・インカ文明の滅亡の原因の一つとなったといわれている。

 歴史的には、スペイン人による征服という面が強調されているが、その背景には疫病による弱体化という要素もあったのだ。

 日本でも、この天然痘の流行によって政権までも脅かす存在になったことがある。

 それは奈良時代の前半の天平年間に起こった天然痘の大流行で、海外から発した天然痘は九州から燎原の火のように列島を走り抜け、奈良の都にまで達した。

 当時は、藤原氏の全盛で、藤原不比等の子供たち、4人の兄弟が政権を掌握し、思うがままに政治を動かしていた。

 4人の兄弟とは、武智麻呂(南家開祖)、房前(北家開祖)、宇合(式家開祖)、麻呂(京家開祖)である。

 その天下をゆすぶったのが天然痘で、4兄弟がその病気で亡くなることによって、藤原家の権力は一時後退したほどだった。

 さすがに、反政府派の反乱などによるものには、武力鎮圧が可能だったが、目に見えない疫病に対しては有効な手段が取れなかった。

 すがったのが、仏による救済、写経や寺院建設や寄進などだった。

 ゆえに、この天然痘の大流行は、その救済祈願として、仏教への帰依を深めたといえるかもしれない。

 現実の世界を人間の知恵や力ではどうにもならないときには、人々は神という存在を意識するようになるといっていい。

 このように、人類史においては、科学が未発達の時代は、未知の疫病による人類への脅威は、ただの出来事とは考えられなかった。

 しかし、現在のわれわれは、疫病の原因となるウイルスなどの存在について知っている。その感染を防ぐための方法も知っているといっていい。

 ただ、そうした知識があっても、まだ決定的な治療法、薬剤が発見されていないので、不安な心理を振り払うことができない。

 いったいどうしたいいのか。

 そうしたパニックが、マスクの取り合いによる物不足や流言飛語、社会不安、経済的な影響をもたらしている。

 このような事態を迎えてみると、コロナウイルスの危険性もやがては終息するとはおもうけれども、問題は、人類の文明進化をもたらしている科学文明というもののもろさであり、その限界である。

 コロナウイルスが終息しても、次の未知なるウイルスによる疫病が、今後、発生しないとは言えない。

 われわれは何でもわかったつもりでいるが、実際には自然の中に潜む多くの神秘的な世界、その本質を理解していなかったことを改めて反省しなければならないのではないのか。

 その意味では、精神世界、宗教のもつ意味を、もう一度考えなければならない時代に来ている気がする。

 (フリーライター・福嶋由紀夫)


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