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黄七福自叙伝「朝日新聞の偏向報道のこと」/「故陸英修女史追悼式のこと」

 

黄七福自叙伝45

「ああ祖国よ 我れ平壌で叫ぶ時 祖国は統一」

 

第4章 民団大阪本部の団長として

朝日新聞の偏向報道のこと

朴正熙大統領狙撃事件に関して、朝日新聞は、悪質な偏向報道に終始した。婦人会大阪本部(裵順姫会長)は一九七四年八月二十一日、民団大阪本部講堂で、「朝日新聞偏向報道糾弾大会」を開いた。

参加した一千余人の婦人は、中之島の朝日新聞大阪本社までの二キロの道を「北朝鮮の手先き朝日新聞」などのプラカードを掲げてデモ行進し、朝日新聞社前でシュプレヒコールを繰り返しながら偏向報道を抗議した。

裵順姫婦人会大阪本部会長、金信三婦人会中央本部会長、洪性仁民団本部青年部長ら抗議団代表は守山社会部長に抗議文を突きつけて反省を促した。さらに抗議団は大阪府庁と府警本部を訪れて要望書を手渡した。

大阪府警本部の捜査の進行状況を知らせる新聞記事も随時掲載されたが、私もしばしばインタビューに応じた。

そのインタビューの内容は、私の意見というよりも、政府筋と相談しての結果の意見だった。

上部団体である民団中央本部の幹部は、そうした私の記事を見て、「発表する前に、なぜ相談してくれないのか」と言ってきたが、正直なところ、事前に相談しても、適切な答えが返ってくることはなかった。功をあせるあまり、むしろ、足を引っ張るというケースの方が多かった。

大阪府警本部は、文世光事件の捜査終結を、新聞発表の一週間前に知らせてきたが、そのときも抗議声明を出した。

 

故陸英修女史追悼式のこと

「故陸英修女史追悼式」が同年一九七四年八月二十九日、吹田市桃山台の千里会館で執り行われた。

朴大統領がベトナム派兵を一週間考えぬいて決定したいきさつや子供会館建設の時の苦労話などを語る陸女史の肉声が流れるなか、二万人余の同胞が哀悼の意を表した。

私も追悼辞を捧げ、冥福を祈った。そして、次のように力説した。

「文世光は金日成とその手先である朝総連の指令を受け、このような大事件を引き起したのも、日本が北傀のスパイ基地になっているためである。また、凶器の拳銃も日本の派出所から盗まれたものであり、日本側に責任がないとはいえない。文世光の背後関係を徹底的な究明に期待するとともに、朝総連を粉砕するには各団員の一致団結が 必要だ」

故陸英修女史一周忌が一九七五年八月十四日に 駐大阪総領事館九階で、仏式とキリスト教式で執り行われ、約八百人が焼香、あるいは献花した。

私は追悼式執行委員長として、次のような抗議要請書を発表した。

 

[抗議要請書]

①北傀及び朝総連の背後操縦でその手下である殺人鬼文世光の兇弾にたおれた故陸英修女史の狙撃事件を日本当局は継続徹底した背後調査と真状を糾明せよ。

②日本当局は殺人兇集団である在日朝総連を解体し、この事件の背後責任者達を捜し出し処断せよ。

③以上の要請をわれわれ大阪地区在日同胞達は日本当局の誠意ある態度を促求すると同時にこれを注視する。

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