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韓国人としての誇りを次世代に

 「願えば叶う」という映画のセリフのような人生を現実に体験され、書籍「在日リーダー」にも掲載される孝行息子であり、在日二世の金正出(キム・ジョンチュル)理事長。3人の子供たちは皆医師として病院の仕事を手伝い、奥様にたくさんの感謝と愛を注がれています。外科医を本業とする傍ら、保育、学園、介護施設など30 の事業体を経営し、約700 人を雇用しておられます。なぜ、外科医が教育分野に携わるのか? もし、この学校の事を早く知っていたら、娘の進学を考える上で見学に行っていたでしょう。インタビューでは理事長はすべて韓国語で語り、韓国人としての自尊心を訴えられました。お忙しい中、時間を割いてお話してくださった金正出理事長に尊敬と感謝を申し上げます。おかげさまで、私自身も「金理事長のインタビューをしたい」という願いが叶い、「人生の羅針盤」を贈り物として受け取ることができました。 

青丘学院つくば中・高等学校理事長 金正出

人生の指針となれば…

 2010 年に日本で『生死海を尽くさん 朴玉姫ハルモニの在日74 年』が発刊され、2016 年に韓国で『朴玉姫女史在日80 年 運命は玄界灘を渡る』が発刊されました。母は、学校にはいけませんでしたが、日本語、韓国語も上手で、焼き肉商売をして、私達4兄弟をよく育ててくださいました。母は人間として、韓国人として、朝鮮人として、どのように生きていくかという基本を教えてくださったのです。そのように素晴らしい母の教えがあったおかげで、韓国人として堂々と生きていくことができているのです。


  そして私の自叙伝も11 月に注目を浴びるタイトルで発刊される予定です。友人からの提案が1つのきっかけですが、韓国人に「日本にもこんな韓国人がいるんだ」という刺激を与え、韓国人がもっと奮起し、技術革新を起こして欲しいという願いがあったからです。人々は私のことを成功者としていますが、本人として、まだ途上にあると思っています。自叙伝では伝えたい言葉と自分がやってきた仕事について言及しています。母の自叙伝が私自身の人生の指針になったように、今度は私の自叙伝が息子や孫の指針と成ることを願っています。「ハラボジ(祖父)はこうやって生きてきた…」。

大河小説『土地』との関わり

 朴景利の『土地』の日本語版が出版されるにあたり、私の友達 金承福(キムスンボク)氏から協力の依頼があり、資金面の協力や監修を手伝いました。私自身には翻訳する力はないですが、趣味で勉強中です。全20 巻あるのですが、現在13 巻まで翻訳が終わっています。

  この本の序説では、1897年秋夕から1908 年5 月、つまり私たちの国が植民地になる前後の民衆の生活についてよく書かれています。ですから、多くの方々に勉強していただきたいという思いがあります。

民族学校・グローバル学校設立の道

 韓国人の精神を持つアイデンティティ教育と優れたグローバル人材育成を行い、卒業生が日本の有名な一流大学に多く入り、医者や韓国社会を担う有能な人材になる、そんな学校をつくろうと、青丘学院つくば中学校・高等学校を茨城県石岡市に2014年4月に設立しました。日本の学校教育法第1条の正規の高等学校で、韓国の民族学校としては東日本で初です。もし、つくっていなければ、多くの在日同胞が日本の学校に入り、日本人になってしまいます。私が知っている医師たちも、すっかり日本人になってしまって、言葉もわからず、文化もわからない人もいるのです。韓国は長い歴史があります。韓国語・韓国文化をよく教育すべきだと思います。何とかうまく耐えて、祖父や両親や民族の伝統を守っていかなければならないと思います。日本の学校に劣らない実力を持ち、韓国人の精彩性を持つ子供たちを育てたいのです。在日の次世代に先人たちの高貴な道を正しく伝え、夢と希望を学生に与えるという、私の長い夢が実現した学校です。

  学校教育の中で最も重要なことは、教育理念です。海外同胞の課題は、子供たちの民族教育です。韓国人が日本で堂々と生きていくためには、徹底した民族心と実力を備えなければなりません。当校の教育理念は、「先人達の尊い志を継承しよう」「父母と目上の人を敬い、兄弟仲睦まじく暮らそう」「一人は全体のために、全体は一人のために」「深く学び、広い知識を修め、高い学力を」です。授業は日本語で行います。日常会話は英語と韓国語を中心とする新しいタイプの学校です。韓国人留学生、在日同胞、日本人が一緒に勉強しています。解放後には誰もできなかった道です。その道を切り開いて行くことによって、若い世代が夢を持って生きていくことができます。ですから、独自の道です。教育ができなければ、全部ダメになってしまうことを私は知っているので、最後に教育に挑戦したのです。

  私は朝鮮学校も民団の学校も、日本の学校も知っています。私の子供も朝鮮学校の教育を受けました。そのようにしか在日は生きることができなかったのですが、私は学生の時から育ててきた一つの考えと夢をもって、スタートしたのです。校歌の歌詞も私が直接書きました。

韓国の政治に願う事

 私は政治にも関心が高いのです。あまりにも大きな夢かもしれませんが、韓国の大統領の務めを十分に果たせるし、なりたかったのです(笑)。しかし在日なので、選挙権の関係で医師になるしかありませんでした。今の韓国では、人々がどのように生きていけば良いのか指示がないのと同じです。食べていくのが忙しく…。私の母も言っていましたが、韓国人は海外に出れば成功します。母国では全部奪われてしまうではないですか。事業家の成長が無いように見えます。また、韓国は在日同胞の事情を良く知らないです。本国から「パンチョパリ」と誹謗や差別も受けました。政府は海外同胞が良く暮らせるように考慮して欲しいです。私達の国は、もっと良くならなければなりません。政治家は専門家たちを適材適所に配置すれば、政治が良くなると思います。

  来年には、韓国大統領選挙があります。誰が大統領になるかはわかりませんが、選ばれた人に良くやって欲しいと願っています。韓国は祖父、父、母の国、先祖の国だから、良くなる資格があります。韓国人は、勤勉で働き者で実力があります。韓国は日本に劣らず、良い国になるでしょう。国で最も重要な事は、人を育てる事業です。ですから、私は教育を通じて、祖国の政治に貢献したいと考えているのです。

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