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困難を乗り越える事ができたのは母と良い友達のおかげ

(株)Lminds CEO 李賢雨

韓国初の悲鳴認識非常ベルの音声認識チップを開発した(株)Lmindsの李賢雨CEO。その先駆者的製品を日本で展開するためには、日本人の声をAI(人工知能)に取り入れる必要があった。その開発に関わった日本人韓国留学生と姜京姫中央本部会長と縁によって、今回、対談の場を持つことができ、その製品の詳細や社会貢献の内容、そして成功の背景を聞いた。

:御社の製品が日本に輸出されると伺いました。おめでとうございます。それで、どのようなものなのか、ご説明いただけますか。


:はい。弊社はAI音声認識ソリューション開発専門企業です。2024年にその技術を用いた悲鳴認識非常ベル製品を開発いたしました。そのためには、リアルタイムで処理できるレベルが必要なのですが、10年かけて開発いたしました。価格、性能、競争力で他社と比べても遥かに良い製品で、誇りを持っています。


:「悲鳴」というと、どのような時に活用されるものでしょうか。


:たとえば、犯罪や病気などの緊急事態の時ですが、非常ベルボタンを押すことが難しい場合があります。その時、「助けて!」(韓国語で3種類ある)と悲鳴を上げると、非常ベルが自動的に作用し、警察への通報までが同時に行われます。室内では、10~12m、屋外では5~10m、地下駐車場では半径20m内で発生した音声を認識することができます。また、防犯カメラと連携して人間の制御がなくても、緊急事態が発生した地点を正確に探して撮影できる点が長所です。


:そうなると、心臓発作だとか命に関わる病気だったり、強盗を早く見つけられたり、本当に社会貢献できる製品だということですね。


:はい、そういうことになります。


:韓国内では、これまでどのような所に設置されたのでしょうか。


:ソウル市瑞草区などの自治体や大型共同住宅の一部、ソウル市江南区の道や京畿道の高陽と外浦などです。女性用トイレやエレベーター、人がたくさん行き来する電車などに設置いたしました。


:安心できる街づくりには、重要なことですね。他の製品もございますか。


:そうですね。現在、睡眠中のいびき音をAI音声分析システムで分析し、最適な睡眠環境の構築を研究開発中です。生体認識技術、特にいびきを活用した睡眠時無呼吸測定や声を利用した健康診断など、多様な音のディクテーションを学習し、実生活に適用可能な試作品を開発しています。


:そういう分野でも、この技術は役に立つということなんですね。それで、日本輸出のきっかけというのは。


:韓国の警察庁が主催する最大の国際治安博覧会で私が大賞を受賞し、日本の大企業と親密になったことです。それで、100万ドル規模の輸出契約を成立することができました。今年6月から輸出することになります。実は、記憶に残る苦労話が1つあります。2011年に創業し、2015年にはチップ(部品)ができました。自分のお金で20億ウォン程度を投資したのですが、このチップが作動しませんでした。その時は私の心臓が止まるかと思いました。動かない原因を見つけようと、6カ月ぐらいは霧の中をさまよっているようでした。教えてくれる人が誰も居なく、この事を知っているのは私しか居なかったからです。作動しなかった原因は円滑に設計されていなかった事と私の経験不足ゆえでした。結果的には、原因を発見し解決できましたが、その後2日間寝込みました。あの時の苦労はとても記憶に残っています。それ故に、苦労をよく乗り越えたという達成感を持っています。私は「誰もやったことのない道を進み、繋いで、こんな時代が来る」というビジョンを描きながら、今日までやってまいりました。


:素晴らしいメンタルですね。この成功の背景は何でしょうか。


:このような仕事ができるようになったのは、私なりに短期的、長期的な目標を立てたからです。そして何よりも、私の母と良い友達が周りに居たからです。たくさん助けてくれた私の友達は、知的な面で安定感を持たせてくれました。また、私の母はとても立派な方で、一寸の乱れも見せたことがありません。何よりも精神力がとても強く、真心を尽くされるお方です。母の1つのエピソードを紹介します。私が大邱にかなり良いアパートを買ってあげたのですが、オンドルを使われないんです。一生、節約しながら生きて来た節約精神が身についているんですね。苦労した時代の精神を知っている母の一面を見ることができました。母は現在87歳です。

今でも母は「天地八陽神呪経」を長い紙の上にすべて手書きで写経しています。年に2、3回も書いて、それをくるくる巻いて私に贈り物として下さいます。母は認知症にならないためにも、真心を込めて長い文章を書くと話しています。母は私の精神的な中心です。母のおかげで多くの困難を乗り越えて、ここまで来ることができました。


:お母様の精誠は、本当にすごいです。


:ええ。母と友達の応援に報いるためにも、会社の名前を全世界の人々にもっとたくさん知らせるようにしていきたいです。


:応援しています。今日は、ありがとうございました。

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