記事一覧

書評 平壌を飛び出した宮廷詩人


 「わたしの娘を100ウォンで売ります」の著者である本人の35日間にわたる脱北の手記である。本の題目にある有るように、金日成総合大学を卒業した著者は詩人として金王朝の中でその指導者を称える抒情詩を書く仕事を生業としていた。正に宮廷詩人である。
北朝鮮の(前)統一戦線部に所属したエリートとして、その職業としていた大韓民国の情報を知る仕事をする中で、北朝鮮体制の矛盾とその失望、 そして、親友に降りかかった不幸をきっかけににその二人が脱北するスリリングなドラマが始まる。特権階級のみが持つ事の出来る通行証を持って国境線まで行くが、警備に捕らえられ調査を受ける場面では自分がその場面に遭遇しているかのようにドキドキした。そして、その場の危機を抜け出す為に取った行動に北朝鮮の中の人間的な部分を垣間見たり、豆満江を渡る場面、中国に渡ってからの公安当局に追われる場面など、一編のサスペンス映画を見ているような気がした。逃走中に出会う一人一人が奇跡のような人々であったしドラマであった。最後まで失くさないようにと持ち続けて来た北朝鮮の実情を綴った手帳。それを守る為に失った親友、35日間という期間の出来事を一気に読み終えてしまった。最近何かと話題の北朝鮮の実情を知る上でもとても参考になると思うので、一度読んで欲しい一冊だった。


関連記事

コメント

  • トラックバックは利用できません。

  • コメント (0)

  1. この記事へのコメントはありません。

ピックアップ記事

  1. 2018.10.16

    2018年 韓日・日韓家庭特別集会 韓日一体化の模範となる家庭を

    南北首脳会談によって、北と南が急激的に近づいている情勢の中、10月11日済州島で...
  2. 歌

    2018.10.10

    音楽という言葉・身体・意味

    かつて、ラジオ番組で、よく聞いていたのが歌謡曲の番組だった。
  3. コラム

    2018.9.27

    自国と他国の比較文化論

    日本人は外国から自分たちがどう見られているのか、常に気にしているようだ。
  4. 日韓交流おまつり2018

    2018.9.25

    日韓交流おまつり 2018 in Tokyo レッツエンジョイコリアンカルチャー

    9月22~23日、今年10周年を迎える「日韓交流おまつり 2018 in Tok...
  5. キリシタン

    2018.8.21

    隠れキリシタンのこと

    このほど日本の長崎と天草地方の潜伏キリシタン遺産(長崎、熊本県)が、ユネスコの世...