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三か国の血の絆?

 

 前二回で取り上げた日・韓・トルコの関わりについて、「運命のいたずらか、それとも天の配剤か?」と表現したが、もう一つ「血の絆」があるかもしれないと思った。

 日韓両国とトルコは、今でこそユーラシア大陸の東と西に遠く離れているが、それは元々、中央アジアの遊牧民族だったトルコ系諸族が、中世のある時期に西へ西へと移動した結果だ。

 移動した人々の中には、乗馬の能力や武術を活かして、中東を支配していたアラブ人中心の帝国で傭兵となった。その中から頭角を現したセルジューク朝やオスマン朝の族長は、聞こえは良くないかもしれないが、事実上、ひさしを借りて母屋を乗っ取る形で、中東の主役になった。特にオスマン朝は今日の国境線で見れば、中東・地中海周辺の二十五か国以上に相当する領土を支配し、イスラム全盛時代を代表する大帝国を造った。

 民族移動の前の歴史を背景に、現代トルコ人の中には、日本人も韓国人もモンゴル高原に起源を持つ兄弟民族だ、と親近感を持ってくれる人が少なくない。それを裏打ちするようなこともある。

 例えば日韓トの三か国語は、主語-述語、形容詞-名詞の並べ方が同じようなので、相互の言語学習は比較的入りやすい。百科事典によれば、トルコ語はアルタイ語族という、西はトルコから中央アジア、モンゴル、シベリアから東はオホーツク海に至る地域で使われる諸言語の仲間で、それに朝鮮語と日本語を含める学者もいるとか。

 これらアルタイ語族の中でもトルコ語は、最も広い地域で話され、中央アジア、バルカン諸国、西アジアでも相当に通用し、アゼルバイジャン語やトルクメン語とも近い関係にある。数年前にアゼルバイジャンの首都バクーを旅した時、トルコ語で用が足りたので得した気分になったものだ。

 もう一つ、日・韓・トの人々の多くは、幼児期に蒙古斑点を帯びる。これなどは血の絆を印象付ける。ただ、ものの本によれば、蒙古斑点がモンゴル人や米大陸の先住民、さらにネグロイドにも高頻度で顕れるらしいから、あまり我田引水の議論もできないかも。

 トルコの民族伝承では、「灰色の狼」からトルコ系の先祖が生まれたんだという。その先祖からユーラシアの大地にトルコ系、蒙古系、朝鮮系、大和系の民族が枝分かれしていったらしい。トルコ民族主義者の中には、言語も人種も近いトルコ系諸族の連帯を呼びかける「汎トルコ主義」と呼ばれる運動もあるが、さすがに、それには日韓は関係ないようだ。

 ともあれ言語と人種の近親関係が、ユーラシア大陸の東から西まで続いている。日本人も韓国人も人種や地理のタコツボに嵌まらずに、広大な舞台に目を向け、新文明のダイナミズムを創り出せないだろうか。コロナウイルスのおかげで自宅隔離を余儀なくされながら、そんなことを夢想している。

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