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ヨーロッパから見た韓(朝鮮)半島問題

ヨーロッパ風景

 

ヨーロッパから韓(朝鮮)半島を見ると、距離が極めて遠いうえ、ヨーロッパ内の問題があまりにも大きくて、韓(朝鮮)半島の統一問題に関心を持てないのが現実でありましょう。しかし韓(朝鮮)半島問題が世界を揺るがす大事件となることを、少しづつヨーロッパの人々も認識するようになりました。この間、ヨーロッパで北朝鮮問題の専門家達とあって来ましたが、韓(朝鮮)半島の専門家はそんなにも多くはありません。

 

ヨーロッパの諸問題

ヨーロッパの問題をあげて見ると、イギリスのヨーロッパ離脱問題、低下する宗教心、家庭の崩壊など多くありますが、足元の難民問題が緊急な重大問題であります。押し寄せる難民をどのように扱うかは外交上、国内の社会問題上、さらには経済上も急を要する問題となっています。対応が各国で違うことも大きな議論となっています。そして、その難民を生んだシリアなどの中東問題はヨーロッパが長年関わって来た問題であり、出口は全く見えない状況が続いています。

 

バルカン半島問題と第一次世界大戦終結100周年記念

今年2018年は第一次世界大戦が集結して100年になる年です。1914年6月28日(日曜日)、ボスニアの首都サラエボでオーストリア皇太子夫妻がセルビアの秘密結社「黒い手」と呼ばれるセルビア人民族主義者たちにより暗殺されました。その懲罰として、オーストリアがセルビアに宣戦布告をしたことが大戦のきっかけでした。更には、旧ユーゴスラビア社会主義連邦は「七つの国境、六つの共和国、五つの民族、四つの言語、三つの宗教、二つの文字、一つの国家」があると言われた複雑な地域でしたが、これらをまとめて過度の民族主義を抑制したチトー大統領の死後(1980年)、旧ユーゴスラビア社会主義連邦は、国家が完全に分離して紛争が起き、結局コソボを含めれば7カ国に分裂してしまいました。(セルビアはコソボの独立を認めていません。)この間多数の犠牲者が出て、大量の難民が周辺諸国になだれ込むこととなりました。もともとユーゴスラビアの人々は、オスマントルコに対する抵抗運動や反ナチ・パルチザン運動を起こしたように、非常に反骨精神が強く民族愛の強い人々です。

 

バルカン半島問題と韓(朝鮮)半島問題

これらのヨーロッパの問題の根底には民族問題、宗教問題、経済格差、そして米露英独仏などの周辺諸国との関係などが深く絡み合って、簡単に解決できる問題ではない状況です。

ヨーロッパが抱える問題の一つ一つを見て見ると、韓(朝鮮)半島の統一に関する課題をいくつも見ることができることに気がつきます。その第一が民族の統一性を確保しながらも周辺諸国と如何にうまくやって行くかと言う課題です。第二に、民族間の和解を如何に推進するかという問題です。第三には、セルビアでは発展した北西部と取り残された南東部(コソボ地域)という経済格差問題がありました。この経済格差問題は韓(朝鮮)半島南北の統一に関しても重大な関心を集めている部分です。第四には、韓(朝鮮)半島の南北間で紛争が発生した場合の難民問題です。この難民問題は半島の周辺諸国(日本や中国)の重大問題となります。今年に入って中国が難民収容所を、北朝鮮国境近くに作り始めたといった報道がありました。第五には軍事的緊張です。軍事的緊張は完全にはバルカンでも消滅していません。これは韓(朝鮮)半島の軍事的緊張と似たものがあります。このような意味で韓(朝鮮)半島とバルカン半島問題は極めて深く連結していると言えます。

 

ピースロード・バルカン2018

このように、分裂して多くの紛争で大きな犠牲を出した国々と地域をPeace Road Balkan 2018の旗を掲げ、平和メッセージを伝達しながら結ぶピースロード・バルカンが本年10月に開催されます。そのために、私もバルカン半島の国々を尋ねて、渉外、交渉、企画と実施を進めています。日本の在日韓国人の方々が始めたピースバイクがこのように、「ヨーロッパの火薬庫」バルカンでも開催されることは大きな喜びであります。よろしくご支援くださいますようにお願いいたします。

 

(大塚克己 UPFヨーロッパ会長)

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