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黄七福自叙伝「そごう百貨店大阪店の「鮮人」表記」/「伏見桃山城での「朝鮮征伐」表記」


 

黄七福自叙伝57

「ああ祖国よ 我れ平壌で叫ぶ時 祖国は統一」

 

第4章 民団大阪本部の団長として

そごう百貨店大阪店の「鮮人」表記

老舗百貨店のそごう大阪店八階大催会場で、一九七五年六月十一日から十六日までの六日間、「第一回肥前有田焼名窯展」が開かれたが、その有田焼を解説するパネルに「鮮人陶工」と三カ所にわたって表記してあった。

このため民団大阪本部は、「朝鮮遠征」や「鮮人陶工」などは差別表記であると指摘、パネルの即時撤去を求めるとともに、

①掲示物、説明書などの再点検、不穏当と思われるものは即時撤去し回収すること

②韓日関係史の正しい記述を行うこと

③公式文書での釈明文の提出

などを求めた。

そごう大阪店は翌六月十二日、民団大阪本部を訪れ、正式に遺憾の意を表した。

席上、民団側は「鮮人という言葉は、日本帝国主義時代に作り出されたもので、今回のような鮮人陶工の呼称は、そうした残滓によるものであり、豊臣秀吉時代には韓人陶工、高麗人陶工、朝鮮人陶工と呼称していた」と説明し、「鮮人」という言葉は在日韓国人の感情からして心を痛めるものであり、また韓日両国の友好親善を損なうものであるとあらためて説明した。

また秀吉の朝鮮出兵を「朝鮮遠征」といったように表現するのは「朝鮮征伐」という不当な言葉の略語であり、それを示すように「征韓の役」「朝鮮出征」「再征の役」「外征の役」といったように、いずれも「征」(征は正す)といった言葉が用いられていると指摘した。

そごう側は民団側の説明を理解し、一九七五年六月十二日、常務取締役店長・桧垣仁兵の名で黄七福団長宛に次のような念書を提出した。

 

[念書]

肥前有田焼名窯展の会場におきまして有田焼の歴史を解説したパネルの文中、日韓両国の友好を阻害する不穏当な言葉「朝鮮遠征および鮮人陶工たちの字句」を、その言葉の意味と、もたらす影響を深く考えず不用意に使用いたしましたことは、誠に遺憾であり心からお詫び申し上げます。

今後、このような誤まりの内容を十分注意するとともに、真の友好とは何かということに対し理解を深める所存でございます。

何卒、ご寛容いただきますようお願い申し上げます。

 

伏見桃山城での「朝鮮征伐」表記

一九七六年七月、伏見桃山城内資料館の畳一枚大のパネルに「神功皇后の朝鮮征伐」「豊臣秀吉の朝鮮征伐」という表記があったことから、民団大阪本部は当該パネルの撤去を要求した。

これに対し、伏見桃山城側は全面的に非を認め、同パネル展示を監修した京都教育大学付属高等学校の宅間博教諭(日本史担当)立合いのもとで撤去した。

民団側は、このパネルが十年間にわたり展示されつづけてきた責任は大きいと指摘、これは潜在する日本人の優越意識が意識の底に定着していることを示すものであると厳しく抗議し、深い反省を求めた。

伏見桃山城側は、資料館を暫く閉館し、館内の説明書を点検、歴史学者の協力を得て韓日の友好親善を阻害しない表記に改めたいと約束した。

民団側が希望していた全従業員対象の韓日友好セミナーの開催に賛同し、七月二十八日、民団側推薦の二人の在日韓国人有識者を講師として「豊臣秀吉の朝鮮出兵」「在日韓国人の基本人権について」と題した研修会を伏見桃山城資料館主催で開催した。

研修会終了後、株式会社桃山城は一九七六年七月二十八日、専務取締役的場正明の名で、黄七福団長宛に次のような念書を提出した。

 

[念書]

このたび大天守閣におきまして夏の特別展を開催中でございますが、このうち三階展示場で「醍醐の花宴」をパノラマ式で展示し、また地階では「合戦に見る日本の歴史館」をシネラマで展示しております。

醍醐の花見は秀吉の晩年をいろどる豪華な催しの一つであり、朝鮮出兵のさなか、苦労をよそにこのような一世一代の花見の宴を開いたことを物語るものであります。然るにこれの解説文の中に朝鮮出兵を征伐という言葉を使用いたしましたことは甚だ不穏当な表現でございまして心から恥いっており反省をすると共に、深くお詫び申し上げる次第でございます。

今後は展示の構成及び解説については、従来に増して十分慎重を期するは勿論、本展終了後は内容を根本的に改更し、正しい教育の場として広く推し進めて参りたい所存でございます。

また一方、管理職の研修会によって更に認識を新たにせしめると共に、社員にも的確な指導に当らせ、業務を積極的に推進し将来とも過ちなきを期してゆきたいと存じますので何卒特別のご厚情をもってよろしくお取計い賜わりますようお願い申し上げます。


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