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ある在日の老夫婦の話


 

ある在日の老夫婦の話

 

2008年は在日の方たちを韓国の麗水にお連れしてセミナーを活発に行っていた年であったが、ある回のセミナーに参加された在日の老夫婦の姿が今も印象深く忘れられない。

奥様の方が足腰悪く歩く事もままならず、荷物の上げ下ろしも大変そうで、ご主人が常に傍で介護しながら行動されていた。その仲睦まじい姿は微笑ましくもあったが、老々介護の大変さも感じさせられた。セミナー3日目の観光に全羅南道の楽安邑城民族村を訪問した時のことだった。その民族村は昔ながらの生活を現代もそのまま保存しながら生活している施設で「大長今」のロケ地にもなった所だが、そこで奇跡が起こったのだ。なんと、

あの足腰の悪かったおばあさんが、急に走り出して韓国のブランコ(クネ)に向かって行ったのです。「懐かしい!!」と言いながら、傍にいたご主人も私もびっくりして目を丸くして見つめていた。その後は韓国のシーソー(ノルティギ)や、様々な遊具をまるで少女のようにニコニコしながら、飛び跳ねながら回っているのです。聞くと幼い時に両親と共に日本に渡って来た在日二世の方でした。まさに懐かしい祖国は一瞬に時を戻してしまい、その間様々な苦労があったとしても一遍に忘れさせてしまうのだなと改めて感じた。

それが故郷であると・・・。そして何よりもご主人が喜んでいたのが嬉しかった。

 

2018年8月31日   茂木福美


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