創設大会メッセージ

基調講演「真の平和統一の道」

2004年7月4日 東京

1.緒論

平和と統一を願う在日同胞指導者の皆様、そして日本各国の指導者の皆様!

今日、私たちは歴史的な平和統一の新しい扉を開く意義ある場に参席しています。在日同胞は、日本帝国主義の圧制下、世界大戦の中での強制動員など前世紀の民族の受難の歴史と、主権がない少数民族の悲哀を感じながらこの場にいます。

また、解放された祖国が思想と理念、そして体制の異なる南と北に分かれ対立、葛藤し同族で殺しあう悲惨な6・25戦争を経験した影響で、この場の同胞たちは同じ日本の地で生活しながら1つの共同体をなしえない立場に分かれ対立し、憎しみながら過ごして来ました。

 

2.個人運と天運

在日同胞たちが自ら選び、望んだことではない日本での生涯を考えれば、個人と家族の運勢の上位に、国運と世界運、そして天運があることを実感します。私たちの経験と歴史の教訓は、人の生涯が自身の選択だけによるのではないことを教えてくれます。それは人の力が及ばない霊的な力。すなわち天運であり神様の摂理です。

韓半島の現代史は、私たち民族の運命が平凡な道ではなく、神様の大きな經綸の下にある民族だということを悟らせてくれます。第2次世界大戦が終わり、その終戦処理過程が国際慣例通りならば、侵略国である日本の地が戦勝国によって分断、管理されなければなりません。日本の圧制下で犠牲となった韓民族は、当然1つの祖国で自由と独立をなさなければならなかったのです。

ところで、なぜ韓半島が分断され、韓民族が南北に分かれて60年近く対決する悲運を歩まなければなかったのですか?

それだけでなく、同族同士が戦争で数百万を殺し合い、国土が廃墟となる犠牲を受けたのに、日本はその韓国戦争の特需にのって経済復興をしました。

一方、緻密に計画された北韓の侵攻の前に備えることができなかった韓国が、国権をなくすしかない危機に直面したとき、UN軍の参加で立ち直りました。ソ連が安全保障理事会の常任理事国という理由から、UN軍の名前で世界中から動員、支援できなかった中で奇跡が起こったのです。事実UN創設以降59年の歴史で、UN軍として、また16カ国という多くの国が参加して、侵略者を征伐したという一度だけしかない事が韓半島で起こったのです。天運が世界を動員して韓国を守ったのです。

韓半島はまた、武力によっての強制的な統一ではない、平和統一がなされなければならないということも天は啓示したのです。これは、これからも有効な神様の摂理だと文鮮明先生はずいぶん前からおっしゃられています。

 

3.善悪闘争と韓半島

人間祖先アダムとエバが、エデンの園で完成して真の父母の立場に立つことができずに、神様を不信して堕落しました。それ以降の人類の歴史は善側と悪側の対立闘争史でした。

韓半島は、人類歴史を通して葛藤、対決してきた神本主義のヘブライズムと人本主義のヘレニズムの2つの思潮が、神様の經綸の中で総決算しなければならない終末期にあたり、自由民主主義と共産主義という名の下に激しく対峙した歴史的現場になりました。

神様が韓民族に歴史と世界を代表して試練の十字架を背負わせたことは、私たちの民族を特別に召命するためだったのです。韓半島に真の父母様を送られるためだったのです。私たちの民族は長く続いた歴史を通して道義精神と和平した心を持つことで長い試練の中でも善と義を立ててきた民族です。韓民族が人類のために分断の十字架を背負い、摂理史的な祭物の過程を経て勝利するようにされたのです。

神様は文鮮明先生を救世主であり、メシア、再臨主である真の父母として送られ、その中心使命を果たすようにされました。これに対して霊界にいる4大聖人たちも地上の霊媒を通して証拠を送ってくれています。韓民族が召命的責任を全うすれば、世界の真の愛と平和の中心になります。ですから、神様が韓民族を愛されるのは韓民族の為だけではないということです。韓民族が世界の為に生きるとき、初めて神様が準備された祝福が結実するのです。

愛する同胞兄弟姉妹の皆様!

なぜ私たちは日本の地で暮らし、また私たちのアイデンティティーは何で、何のために生きて行くのですか?私たちの後孫の運命はどのようになり、私たちの民族はなぜ分断され、平和統一はどのように可能か?―など普段もっている疑問に対する答えが、摂理史を認識することによって与えられます。

韓半島分断の意味や、日本において同胞たちが経験した受難が決して無駄な犠牲ではなく、天運の前に呼ばれる中心民族としての自負心を持たせるのです。

韓半島の分断は摂理史の世界的な展開を縮小したものです。単純に領土と民族が南北で分かれたということだけではないのです。心と体、唯心と唯物、神本主義と人本主義、自由民主主義の体制と共産社会主義の体制の分断を意味します。

したがって、韓半島での対立闘争が克服され平和統一が成就されれば、世界と人類全体が真なる平和統一に至る道となるのです。

 

4.平和統一の道

韓半島をはじめとして、世界が完全な平和統一を成就する道は何ですか。理念や政治によって生まれる権力や知識、資本によって可能なことですか。歴史上、多くの国家と権力集団が、領土や外的な統合による対立闘争の終焉を試みました。しかしこのような方法の大部分は、一時的で制限的に外形上の平和統一をなしただけでした。内的には新たな葛藤要因を作りました。

聖書には真の平和統一に至る模範的な道として、ヤコブとエソウ兄弟を中心に家庭の歴史が紹介されています。父イサクと母リベカの双子の息子としてヤコブとエソウは生まれました。彼らは母リベカの胎中から戦っていて、仲がよくありませんでした。しかし弟ヤコブと兄エソウの葛藤は、アダム家庭で兄カインが弟アベルを殴り殺したものを蕩減復帰するための摂理史的な内容を持っているのです。

結局20余年の恩讐関係は、ヤコブ自身が一生を通して得たすべての財産と権威をもって「心から一緒に暮らしたい」とする真の愛の心情を兄エソウに捧げることで、仲直りしました。弟ヤコブの自分を犠牲にして献身する真の愛の前に、我知らず兄エソウの恨みの心は、雪が解けるように消えて兄弟は真の平和統一に至ったのです。

文鮮明先生は以前から南北統一に関して次のようにおっしゃっています。

「力で相手を屈服させたらいつか相手側の力がもっと大きくなるとき、また戦いが起こることになります。その方式では完全な統一をなしえません。この南の地にいる人たちが、北の人たちと心から一緒に生きたい心、1つにならなければという心がなければ統一の道は開かれません。北韓を考えながら、かわいそうに生きる私の同胞の為に涙を流して、あなたたちの苦難と共に生き、解放の日を準備して願い、その統一のための真の愛の実践運動がおこったなら統一の日は遠くありません」

「一緒に暮らしたいという心の共通された基盤はなんですか?それは権力ではないのです。権力は歴史を超越できません。一時のものです。知識もやはり同じです。金銭も同様です。上下・前後・左右を問わず、過去・現在・未来の時間性を超越した場で共通認定することのできる1つの事がすなわち、神様を中心とする真の愛です。真なる愛と心情の因縁をもった人は統一圏に参加できる特権があります」

本当の平和と統一は、このような真の愛によってだけ可能です。私よりは家庭、家庭よりは社会、国家、世界、そして神様の為に自分を犠牲にして献身する許しと和解の真の愛の実践によってのみ、韓半島の平和統一はもちろん、今日の世界の紛争が根本的に解決されるのです。

文鮮明先生の真の愛の統一論は、理論だけでなく生涯を通した実践でした。人間自体の中に葛藤対立する体と心をどのようにしたら本心が主導的な立場にたてるのか。そしてその本心を中心にして、体を中心とした生活が調和の基準をなすことができるかを教育してこられました。神様を絶対価値の縦的基準として本心を立て、与えて与える、為に生きる真の愛を実践することです。天国の拠点は心からです。

このような統一方案も外部からではなく、内部にあります。体と心の葛藤を克服し、本心を前に立てることを、まずなさなければなりません。この本心が願う通りの家庭を築かなければならず、民族や国を築かなければなりません。このようにすれば統一は自動的に成就されます。本心が行くところには天運が一緒にあります。

文鮮明先生は、統一祖国の為に真の愛による為に生きる生活をしてこられました。祖国の分断が国際的な関係の中で起こったので、韓半島周辺4大強国、すなわち米国・日本・ソ連・中国の中に、祖国統一の為の肯定的作用をする独自的な基盤を構築してきました。国家主権でも成就できない4大国の現地人たちによる心情的な基盤だから尊いのです。また、世界191カ国の支部と平和大使たちの基盤が直接、間接的に韓半島統一を支援しています。

文鮮明先生は1991年、危険の中で真の愛だけをもって訪北し、金日成主席と会同して統一の糸口を開きました。第1に、離散家族を探す事業を1992年から推進する、第2に、核エネルギーを平和的な目的にだけ使用し、北韓は理にかなった核査察を受ける、第3に、軍需事業を除外した北韓の平和的経済事業に統一グループが支援する、そして第4に、南北首脳が、会談する方式で一致できれば、首脳会談が可能であることで合意をみました。

また、在日同胞たちに対しては民団、総連両方に故郷訪問支援と民族招請、韓国招請を含くむ数多くの教育、修練を実施するなど同胞同士の会合から祖国統一に寄与するまで、20余年間指導して来られています。

尊敬する在日同胞指導者、そして韓半島の統一はもちろん東北アジアと世界の平和に対する願いでこの場に一緒にいてくださる日本の各国指導者の皆様!

今日、韓半島は平和統一に向かい、あと一息という最後の峠を越えようとしています。韓半島の統一なくして東北アジアと世界の平和がないということを最近の情勢は私たちに教えてくれます。

世界的には冷戦体制の解体。21世紀および世界化時代の到来と一緒に大規模な戦争や理念的な対決が平和の脅威だった時代は事実上終わりになります。

今は、宗教・人種・民族たちの多様な文化的衝突が、平和を脅威に変えています。特に家庭の崩壊と青少年の脱線は、人間性が神性を失い動物性に変わり、平和の基本条件と、人間の存立の根本を揺るがしています。

このような時代状況で、私たちすべては、真の愛をもって韓半島の平和統一はもちろん、東北アジアと世界の平和の為に前に進んで行きます。また、われわれの生活圏で人間の根本を脅威に陥れている家庭の崩壊と青少年の脱線を防止して、平和理想世界のために真の家庭純潔運動に積極的に参加し、導いてくださるようにお願いします。

前世紀の在日同胞の皆さんたちは摂理史の犠牲者でした。しかし、これからは在日同胞は平和時代の主人公であり、先駆者です。文鮮明総裁が1981年ソウルで開いた科学統一国際会議で主張した「日本と韓国を連結してアジアヨーロッパ大陸を、上下両面の共通ネットワークで結ぶ国際ハイウェイのプロジェクトを実現する」ことで日本を世界平和に貢献する母の国家として導いてくださることを願います。韓日海底トンネルを通じて、人類は国境線がなく自由に往来して和合する時代を迎えるようになるのです。

愛する兄弟姉妹の皆様!

摂理が要求する統一は、統一自体が目的ではありません。統一の基盤の上に永遠なる自由と平和と幸福の理想を花咲かせるためなのです。そして今日創設した「平和統一聯合」は、今からどこに向かうかが重要なのです。同胞と世界を愛の園に導いていかなければなりません。権力の園ではありません。企みや利権の園ではありません。恨みを晴らす利益集団になってはいけません。本当の愛の園で同胞を導いて、私たちすべてが為に生きる真の愛の実践を通して、許しと和解、平和と統一を導いて行かなければなりません。さらに私たちの真の愛が、日本人たちの心情に伝わり、日本人も平和統一を導く助けとなっていかれることをお願いします。

平和統一聯合創設大会に参加されたすべての方たちと家庭の上に、神様の祝福が一緒にあることをお祈りします。