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黄七福自叙伝「文世光事件の裁判のこと」/「文世光の背後のこと」


 

黄七福自叙伝43

「ああ祖国よ 我れ平壌で叫ぶ時 祖国は統一」

 

第4章 民団大阪本部の団長として

文世光事件の裁判のこと

一九七五年二月の第二回公判(大阪地裁)で、小林美喜子(旧姓吉井)被告の弁護団の一人である松本健男弁護士が「朴大統領夫人、陸英修女史殺害は文世光によって行なわれたものとは思われず、朴政権自身がその政治的危機打開のため、政治的に仕組んだものである」と発言した。

このとんでもない暴言に傍聴席から怒号が渦巻き、法廷内が大混乱するというひと幕もあった。傍聴席には張起説監察委員長、崔景乙事務局長、裵順姫婦人会会長らもいた。

後日、大阪地裁所長、石田登良夫裁判長、松本弁護士らに「神聖なる法廷でデマを根拠にした内容の弁論を述べるのは、本来の弁護団の姿でない」などを内容とする抗議文を手渡し、反省を求めたが、受け取りを拒否された。

しかし、婦人会大阪本部(裵順姫会長)が中心となって、松本弁護士らに厳しく抗議、松本弁護士らはついにその非を認め、同年三月七日付で、黄七福団長宛に謝罪文を寄こした。

 

[謝罪文]

去る二月二十日の被告人小林(旧姓吉井)美喜子の出入国管理令違反等被告事件の公判における私の発言内容に下記のとおり一部、軽卒な点があったことを認め謝罪します。

<記>一、陸英修夫人殺害の犯人は文世光でないと確信していると述べた点。二、朴政権が本狙撃事件をデッチあげたと誤解を生むような部分が有した点。

 

同年三月、大阪地裁(石田登良裁判長)は「文世光の不法出国を予測しながらこれをほう助した」として小林被告に懲役三カ月、執行猶予一年の判決を言い渡した。

この軽い判決に対し、在日同胞社会は「国母を失なった悲しみを、反映していない」と怒りをあらわにした。

 

文世光の背後のこと

文世光と金浩龍は一九七二年九月三日、大阪のフェスティバル・ホールで開かれた「七・四共同声明支持在日同胞大阪府青年学生大会」で知り合い、二日後に大阪市生野区の文世光の自宅で再会した。

金浩龍が、大会での文世光の活躍ぶりを称賛、「同じ血を分け合った民族同士にへだたりがあってはならない」「家が近いから政治理念を超越して、しばしば会おう」と持ちかけ、文世光が同意した。

その後一年間にわたって毎月二回、文世光の自宅で金浩龍の持参する北朝鮮共産集団と朝総連の各種パンフレットを中心に南北朝鮮情勢、韓日関係などについて討論した。

その過程で、金浩龍は、文世光が過激な性質で、テロも辞さないの持ち主であることを見抜き、上層部に報告した。

そして、その後の周到な準備によって、朴正熙大統領狙撃事件に発展していったのである。

旧韓青の不穏な動きが続くなかで、一九七三年十月、民団生野北支部は、反民団的行為が著しいとして、旧韓青員の文世光を除名処分にするようにと本部監察委員会に要請した。

この時、文世光の兄の文根洙(金剛学園元教師)から「本人も反省しており、自分が責任をもって更生させるので」という強い懇願があったことから、張起説監察委員長は、除名処分を保留した。

ところが、文世光による朴正熙大統領狙撃事件が発生したため、監察機関全員(委員長=張起説、委員=宋台紬・金元植)が、その責任を感じ、辞表を提出した。

しかし、八月二十九日に開かれた「第二回支団長・事務部長会議」で、監察機関の辞表撤回を求める決議が可決されたことにより、辞職は白紙撤回となった。

その場で、私は、「現段階で道義的責任を問題にするのは時期尚早である。今こそ三機関が団結し組織混乱を防がねばならない」と説得した。


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